
「将来、万能」──。ドローン最大手・DJI(本社・深圳)の公式サイトには、こんな強気なフレーズが躍る。
近年のドローン業界はDJIと仏パロット、米3Dロボティクスが3強とされてきた。しかし、世界シェア約7割と推計される空の王者・DJIに圧倒され、欧米2社はリストラや事業方針の見直しに追い込まれた。日本勢の存在感は、残念なことに皆無と言わざるをえない。
そもそもDJIのドローンは何が優れているのか。関係者は口をそろえて「飛行の安定性」を挙げる。ドローンは墜落に限らず、わずかな飛行位置の誤差で何かに衝突しても大事故になりかねない。これを防ぐのが「フライトコントローラー(フラコン)」という、飛行姿勢を制御する基幹装置だ。
ドローン活用コンサルのドローン・ジャパンの春原久徳会長は、DJI製フラコンの精度の高さを「世界中のどの企業も追いつけない水準だ」と語る。この基幹装置の強みが、DJIをドローン業界で1強へと押し上げた。
では、なぜDJIだけが高い精度を手に入れたのか。その理由は、ドローンに対する認識の違いにある。機体そのものはハードウエアだが、フラコンで加速度や気圧、GPS(全地球測位システム)情報をデジタル処理して飛行を安定させており、カギを握るのはむしろソフトウエアとなっている。

ニッチ戦略の日本企業 一歩先を行くDJI
ここで重要なのが、PCやスマートフォンでおなじみのアップデートだ。ドローンは出荷時にできなかった気候や地形への対応のため、ログデータを基にソフトを随時アップデートしている。春原氏は「DJIは理想の機体までいかずともまず出荷し、ユーザーを介して世界中のログデータを収集してきた」と成功の要因を分析する。ハードではなくソフトで勝つという手法は、PCやスマホなどで中国勢に惨敗した日本のモノ作りに欠けていた視点にほかならない。
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