海に出掛けるときは、グーグルマップの空中写真とストリートビューで美しいと判断した所に行く。この流儀を始めて4〜5年になる。
2018年6月、韓国の済州(チェジュ)島を訪れるに当たり、グーグルマップで最も美しいと感じたのが、島の北岸にある咸徳(ハムドク)海水浴場だった。
咸徳からバスで10分ほど東に進んだ海岸沿いに「東福里(トンボッリ)海女村」と呼ばれる海鮮料理店がある。ここでウニ入りの温かい麺(ソンゲグクス)を注文してみた。
済州島は海女の島だ。「済州海女文化」はユネスコの無形文化遺産に登録されている。
明治時代の終わりから昭和初期にかけて、日本各地はもちろん遠くはウラジオストクまで、済州島の海女が出稼ぎをしたという。
食後、店近くの海岸に海女の姿を探してみたが見当たらない。近年は高齢化が進み、その数も全盛期の5分の1以下だという。
儒教の影響の強い朝鮮で肌を露出する海女は、両班(ヤンバン、官僚や貴族階級)の子孫が多い内陸部在住者からは、身分が低く見られることもあったという。
咸徳海水浴場は、弧を描く砂浜の白さがエメラルドグリーンの海に映え、波も至って穏やかだ。この砂浜を見下ろす高台に一軒家のカフェ、デル・ムンドがあった。
まだ6月だというのに、ビーチは家族連れであふれており、カフェのテラスでは韓国の女性たちがスマホ片手に自撮りに忙しい。
こうした光景を平和と呼ぶのだろう。だが、このビーチは70年前、凄惨(せいさん)な事件の現場となった。
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