米中貿易摩擦が激化する中、通貨・人民元の下落が市場で注目されている。2015年のチャイナショックの再来への警戒感が、7月初旬のアジア株安の一因ともなっている。
これまで中国人民銀行は米国FRB(連邦準備制度理事会)の利上げに合わせ政策金利を引き上げて、米中金利差の拡大を抑え、元安進行を抑制してきた。しかし、6月13日のFRBの利上げには追随しなかった。中国国内景気の減退もあり、金融政策は明らかに緩和バイアスが強まっている。今後も米中金利差の拡大に伴う元安が懸念される。
米中貿易摩擦の帰趨によっては中国の通貨戦略は180度変わることになる。
米中貿易摩擦が中国の対米輸入拡大による貿易黒字削減といった平和的解決に向かうのであれば、中国にとっては元高が国益となる。5月に始まった米中通商協議の中で、中国は米国からの自動車や半導体、天然ガスのドル建て輸入額を増やすことで対米貿易黒字を削減すると表明している。元高なら割安に輸入を増やすことができる。
しかし、貿易戦争の様相を強める場合には、中国は元安政策でその痛みを和らげようとするかもしれないし、さらに米国債売りで米国の金利上昇圧力を高めるかもしれない。
元安政策は高リスク
ドナルド・トランプ米大統領は中国の知的財産権侵害を批判し、中国からの輸入品500億ドル分に25%の制裁関税をかけることを決定した。中国の出方次第では追加関税を重ね、最大4000億ドル分に10%の関税をかけるとしている(米国の対中輸入額は17年5050億ドル)。
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