貿易戦争が発生しやすいのは、産業構造が競合的な国の間である。たとえば、産業構造が似ている日米間では貿易摩擦が絶えなかった。それを回避するために日本企業は自主的に対米直接投資を行い、工場を米国に移転し貿易不均衡の拡大を抑制してきた。
一方、米中の産業構造は補完性が強い。米国が中国から輸入するハイテク製品などの多くは、米日欧など先進国から中国に進出した企業によるものである。米国政府がハイテク製品の輸入を制限すると中国も困るが、中国に進出している先進国企業にも大きなダメージになる。
にもかかわらず、トランプ米大統領は3月22日に、知的財産権侵害を理由として合計600億ドルの中国製品を対象に25%の制裁関税を課すると発表した。対象となる品目を15日以内に決めるという。
おそらく中国にとっていちばん困るのは先に発表された鉄鋼とアルミに対する輸入制限であろう。中国政府はトランプ政権の暴挙に報復する姿勢を示しているが、本心としては、貿易戦争を回避したいはずだ。何よりも中国には、報復のためのカードが限られている。
中国が米国から輸入する品目の中で目立つのは自動車とその部品、ボーイング社の飛行機に加え、農産物である。一方、中国が米国に輸出しているのは電子製品や機械など高付加価値品、さらに家具や雑貨なども大きなウエートを占めている。
中国政府は米国からの農産物に対して高い関税を課す構えだ。大豆とトウモロコシの輸入を制限すれば国内需要を逼迫させるおそれがあるので中国が対抗措置をとるのは簡単ではない。が、何かアクションを起こさないと米国はさらに制裁を強化する可能性がある。
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