「鉄鋼が米国の通商交渉の材料に使われている」。日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は3月26日の会見で、鉄鋼・アルミの輸入制限措置の対象に日本が含まれたことに、警戒感をあらわにした。
だが、年初からトランプ政権の動きを注視してきた鉄鋼業界では、「それほど影響はないのではないか」「米国向けは他国が作れないものばかり。困るのは米国のほう」という楽観論が支配的だった。
日本鉄鋼連盟によれば、2017年の鉄鋼生産量のうち輸出は13.8%。このうち米国向けはわずか4.9%、生産全体の0.7%にすぎない。「米国への鉄鋼輸出品は高付加価値品がほとんどで、日本企業が競争力を持つものばかり。影響は限定的」(日本総合研究所の井上肇副主任研究員)というのが、今回の措置に対する代表的な評価でもある。

輸出されているのは、石油やガスのパイプライン用鋼管、産業機械や電動車のモーター向け電磁鋼板、航空機や自動車など輸送機向け条鋼類、高品質な鋼管といった、各分野で必須の鉄鋼製品がほとんどだ。「汎用品ではなく、注文を受けて要求どおりに作るものばかりだから、輸出を制限すると米国のユーザーに影響があるのでは」(鉄鋼大手幹部)と言うのもうなずける。
鉄鋼連盟の進藤会長は「今後、品目別に適用除外ができるように努力する」と表明した。競争力を背景に、日本政府とともにトランプ政権に対応を求めていく方針だ。
在米日本企業に負担 輸出競争力低下も
だが、「鉄鋼業界という川上だけの視点で対応するのは問題があるのでは」と、みずほ総合研究所の小野亮主席エコノミストは警鐘を鳴らす。それは需要家側、消費者側の視点が抜けていないか、ということだ。たとえば自動車メーカーなど在米の日本企業にとってはコスト増につながる。生産性を高めて負担増を吸収できなければ、収益性悪化は避けられない。
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