自衛隊を辞めて11年、フリーランスとして生きてきた。並行して、会社と契約を結び、顧問やアドバイザー、デモンストレーターなども務めている。
正社員ではない私と契約先の会社は、ある意味で中途半端な関係だ。けれども、実はこれがなかなか面白い。中途半端であるがゆえに、さまざまな立場の人と垣根なく接することができるからだ。
創業者や経営者にしてみれば、従業員ではないので、割とフラットに付き合える。部長のような中間管理職にとっても、私は上司でも部下でもないので、気軽にアドバイスを求めたり、愚痴をこぼしたりできる。末端の社員だと、親子ほど年齢が違う場合も多いが、それこそ利害関係がないから、“近所のおっさん”くらいの感覚で気軽に接してくる。
その日は、たまたま中間管理職の二人から、連続して当人の部下に関する愚痴を聞かされていた。
「あいつのせいで何度も大変な目に遭っているんですよ。本当にどうしようもないやつなんです」
「ウチの部署にはまともに使えるのがいないんです。私があと5人いたらと思いますよ!」
ここまでむき出しの愚痴だと、聞いていて心地のいいものではない。だが、時にはガス抜きも必要だろうと、黙って耳を傾けることにしている。私自身、しょうもない愚痴をこぼしているうちに、いつの間にか気が楽になった経験を幾度かしているからである。
とはいえ、自分の場合は、愚痴をこぼした後で何とも嫌な気分に陥り、後悔することもある。愚痴を聞いてくれている相手からより強い同意が欲しく、批判の対象者について駄目なところをどうしても大げさに言ってしまうせいだ。愚痴をこぼしている最中は、自分を省みる姿勢が皆無で、「あいつのせいだ」「俺は悪くない」とばかり繰り返す。要は、気持ちの悪い保身モードである。対象者が自分をどう見ているかなど、まったく想像もしないままに……。
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