有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #少数異見

経済を忘れた道徳は寝言である 生産性の向上が格差是正の王道

3分で読める 有料会員限定

最高裁判所は6月1日、「正社員と非正社員の格差が不合理かどうかは賃金項目ごとに個別に考慮すべきだ」という判断を示し、最高裁として初めて正規・非正規間の格差について一部不合理だと言い渡した。

「同一労働同一賃金」という世界の大きな流れの中で、遅すぎた判断だという批判もあるが、企業に説明責任を課した意味は小さくないと考えるべきであろう。今後は、各企業が、正規と非正規の賃金格差について合理的な理由を説明しなければならなくなった。わが国では非正社員が労働者の約4割を占めており、平均月収は正社員の32万円に対し非正社員は21万円と6割強にとどまり、賃金格差がある。政府が、今国会に提出している働き方改革関連法案でも、同一労働同一賃金の推進は大きな柱となっており、この判決を契機に、正規・非正規の格差の是正が図られることが期待される。

この判決に対する各界の反応はさまざまである。早くも中小企業の側からは、雇用主の負担増を憂慮し、支援策を拡充すべきだとの声が出ている。わが国ではいかなる構造改革であれ、中小企業に配慮しソフトランディングを必要以上に求める大合唱が起こる。その結果、本来は退場すべき「ゾンビ企業」が生き残り、安値攻勢をかけては、業界全体の地盤沈下が進んでいく。その繰り返しである。非正規労働者の犠牲の上にあぐらをかいているゾンビ企業には、むしろこの機会に退場を促し、わが国の経済の足腰を鍛えなくてはならないのではないか。政府は長期的な視点に立ち、貴重な税金は国家百年の計のために、わが国の産業の国際競争力を高める方向で使ってほしい。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数