有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #非常時の組織論

組織が非常時を乗り越えるシンプルな秘訣 単純だが簡単でない「透明な心」

3分で読める 有料会員限定

私は40歳代前半で特殊部隊を辞め、撃てて、潜れて、平和ボケしない場所を求めてフィリピンのミンダナオ島に行った。島に着いた翌日、ダイビングショップでマネジャーに交渉をした。

「私は、日本から来た者で海軍特殊部隊にいました。客としてではなく潜らせてほしい。自分の技量を落とさないために潜りたい。その代わり、この土地に慣れたらガイドをするし、必要なら従業員のトレーニングもします」

「わかりました。今から私と潜りに行きましょう」

マネジャーは、当然こちらの技量をチェックしているに違いないが、何かしてみろというわけでもなく、1時間ほど一緒に潜った。

「明朝、9時にまた来てください。そこにいる女性が離島にある支店の責任者です。明日、彼女と一緒にその支店に行って、とりあえず2名の若いダイバーを鍛えてほしいのです」

支店の責任者だという女性は、マネジャーが現地語で事情を説明している間、小さく何度もうなずきながら私を見ていた。

この女性が、現在の私が持つ特殊戦技術の師であるラレイン(仮名)だ。初めて会ったこのとき、私に向けた視線が衝撃的だった。友好的でも敵対的でもなく、まるでX線で私の心の中を透かし見るようなまなざし。そして、その視線を浴びた瞬間、

「これだ! いっさい先入観を持たずに人の心を見通す力が自分には必要だ。さっさとこれを手に入れないと、俺は敵と味方の判断を間違えて簡単に消される」

と思った。今でも護身術を教えるときは、最初にこう話をする。

「これまで私が生きてこられたのは、射撃やナイフや拳が強いからではありません。それを使うタイミングを見極めるための、人を色眼鏡で見ない、透明な心を維持するコツを知っているからです」

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数