日本では「ガゼル」がまだ希少種だ。足の速いアフリカの動物の話ではない。高成長企業の話をしているのだ。雇用や売上高を急速に拡大している中小企業は「ガゼル」と呼ばれる。ガゼルは通常の企業に比べ、独創性や生産性が高く、世界中の先進国で成長率拡大に大きく貢献している。
こうしたガゼルが育たない点に日本の問題がある。設立2年以内の中小製造業を見てみよう。日本では平均5人しか雇用していないのに対して、米国では倍の10人も雇っている。創業から10年で平均的な新興企業の従業員数は米国で80人、英仏で40人、オランダで25人へと拡大するが、日本では10人にしかならない。
オランダの調査会社・パンテイアが2010年に、ある国際比較を行っている。従業員数50〜1000人の全企業のうち何割が、過去3年間で売上高を6割以上伸ばした高成長企業だったのかを調べたのである。米国では、これほどの高成長企業が全体の38%にも上るという驚くべき結果だった。英国とスウェーデンは18〜20%、独仏は11〜12%。しかし、日本はわずか7%で、13カ国中、最低の成績に沈んだ。
日本が残念な結果となった理由の一つは、資金調達の難しさにある。日本で中小企業が銀行借り入れを行う場合、オーナーは個人保証を求められるのが普通だ。自己破産法も他国に比べて厳しい。こうした事情が相まって中小企業の資金繰りを圧迫している。中小企業融資の8割で、日本の銀行は中小企業経営者に、倒産に備えた担保として自宅などの個人資産を差し出させている。が、IMF(国際通貨基金)によると、日本以外の先進国でこのような個人保証が要求されるのは、全体の2割程度でしかない。安倍政権は成長戦略の一環として個人保証制度を緩めるよう銀行に要求しているが、大した効果は生んでいない。
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