世界の核管理体制が危機に瀕している。トランプ米大統領がイラン核合意からの離脱を決めたばかりだが、6月12日には核問題をめぐって北朝鮮と首脳会談を行う予定だ。トランプ政権はボルトン大統領補佐官のようなタカ派ぞろいだ。非核化の動きが来月にも頓挫する可能性は大いにある。国際社会が核不拡散条約(NPT、1968年調印)のような既存の核管理体制を守り抜くことの重要性が、今ほど高まっているタイミングもない。
多国間協定はつねに適用段階で矛盾を抱え込むものである。核管理も例外ではない。イスラエルとインドは共にNPTに加盟していないにもかかわらず、責任ある核保有国と見なされている。イスラエルが核保有について制裁を受けたことは一度もない。NPT非加盟国との原子力関連貿易は国際ルールで禁じられているが、インドは例外扱いだ。さらに、米国、豪州、カナダ、日本などはインドと原子力協定を結んでもいる。
一方、パキスタンの核保有は黙認されてはいても、大っぴらに受け入れられているわけではない。北朝鮮による事実上の核保有は容認できないものと見なされている。イランは核兵器を完成させる前の段階で、核開発が制限された。
このように核管理体制の矛盾が露呈する中、NPT加盟の核保有国は自らの軍縮を棚上げにしており、多くの国が不満を募らせている。NPTは第6条で「誠実」な軍縮交渉を義務づけている。が、核保有国は、この条項は核保有国が核を持ち続けるのを縛るものではないと都合よく解釈している。それどころか、抑止理論を盾に、軍縮は世界の安全を損なう、と強気の主張を繰り広げているのだ。
核を持たない国が異議を申し立てるのも当然だろう。昨年採択された核兵器禁止条約に非核保有国の思いが込められている。
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