発電所が排出するCO2(二酸化炭素)への対策として期待されるのがCCS。CO2を回収(キャプチャー)し、地中深くに圧入して貯留(ストレージ)する技術だ。CO2排出が多い石炭火力発電ではCCSの義務づけも始まっている。英国などだ。石炭火力だけでなくガス火力発電、製鉄所、石油化学プラントなどからのCO2の削減にも寄与できる。
国際エネルギー機関(IEA)によれば世界の気温上昇を2度以内に抑えるために必要な2060年までの累積CO2削減量の14%をCCSが担うと期待されている。日本でも14年のエネルギー基本計画で20年ごろのCCS技術の実用化を目指す方針が示されている。
CCSは夢の技術ではない。1970年代からこれまでに海外で多数実施されている。ただ、海外でのCCSの大半はCO2削減ではなく、原油増産が目的だ。油田は操業が進むと地下の圧力が低下し、原油の生産量が減る。そこで液体やガスを地下の油層に送り込み、原油増産を図るEOR(エンハンスト・オイル・リカバリー、石油増進回収法)という技術がある。既存の大型CCSはCO2を使ったEORがほとんどだ。
EORは原油増産というメリットがあるのでCO2の回収・圧入にかかるコストをカバーできる。だが、EOR以外のCCSはコストだけがかかるため、事業化は難しい。油田が極めて少ない日本でCCSを実用化できるのか。
将来を占う実証実験が北海道で行われている
日本で唯一のCCS実証実験は、北海道苫小牧市で行われている。事業主体は電力会社や石油元売り会社など35社が出資する日本CCS調査。隣接する製油所が排出するガスからCO2を回収し、海底約1000メートルと約3000メートルの地層に圧入・貯留する。16年からの3年で30万トンを圧入する計画。今年3月で約15万トンを達成済みだ。細かいトラブルはあるものの、おおむね計画どおりに進んでいる。
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