3月上旬、金融庁が仮想通貨取引所の一斉処分に踏み切った。だが、イの一番にふん縛るべきは、われとわが身だろう。取引所から580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が消えたあの事件。ズバリ、お役人の人災だった。
昨年4月、改正資金決済法が施行され、海外に先駆け仮想通貨取引に法的根拠が与えられた。金融庁のお役人は「アングロサクソンにもできないことをやってのけた」と胸を張っていたそうな。ところが、利用者保護の観点がすっぽり抜け落ちていた。いちばん肝心なところをネグレクトして、なぜ、金融庁はつんのめったのか。
「省益(庁益?)」である。金融庁が監督する銀行業界はまがう方なき長期衰退業種。対極に、仮想通貨のブロックチェーン技術に代表されるフィンテックがある。仮想通貨をいち早く囲い込めば、フィンテックが切り開く(であろう)成長可能性を独占できる。グズグズしていたら、ほかの省庁が触手を伸ばしてくる──。
40年近くも昔のこと。生まれたてのデータ通信の管轄をめぐって、郵政省(現総務省)と通商産業省(現経済産業省)が火花を散らした。郵政省は「通信は丸ごと自分の領分」と言い、通産省は「データ通信はリモートコンピューティング。コンピュータを管轄するわが領分」と言い募った。お役人たちのDNAは昔々から変わらない。
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