仮想通貨取引所大手のコインチェックで起きた仮想通貨「NEM(ネム)」の大量流出事件。発生から約1カ月が経ったが、営業再開のメドは立っていない。
金融庁が立ち入り検査を始めたのが2月2日。同庁がコインチェックにシステムの再構築を求めているとすれば、当分の間、営業再開を認めるとは考えにくい。最悪の場合、「このまま営業は再開されず、登録申請の却下という事態もありうる」(金融庁OB)。
営業が再開されない中、被害者の間ではコインチェックを提訴する動きも出始めた。ただ、明確に請求できるのは、民法上の契約不履行に基づく仮想通貨そのものの返還だけのはずだ。現状、仮想通貨について私法上の権利を認めた法律はなく、利用者保護の仕組みが整備されていない。
狙いはマネロン対策
こうした私法上の扱いをいっさい棚上げして、金融庁は2016年、資金決済法を改正した(施行は17年4月)。改正法では仮想通貨を法律上、初めて定義づけたが、それは資金洗浄(マネーロンダリング)対策やテロ資金対策を行う国際機関、FATFの定義を参考にしたもの。「改正の狙いはマネロン対策。利用者保護という視点はほとんどなかった」(金融庁幹部)。
たとえば、資金決済法で財産的価値を認めようとするなら、商品券やプリペイドカードなどに課せられている一定額の供託という手段もあるが、仮想通貨はそうなっていない。結局、仮想通貨は改正法においても、カジノのポーカーチップか、あるいは単なる電子データにすぎないのだ。
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