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中国の憲法改訂案が物議を醸している。この稿を起こしたのは3月1日。その数日前、明らかになった案文にて、一期5年の国家主席の任期を連続二期までとする、と定めた旧憲法の条文がなくなっていたからである。
習近平国家主席は昨年10月の共産党大会で、側近の重慶市党委員会書記の陳敏爾はじめ、次世代リーダー候補を最高指導部の政治局常務委員に任ずる人事を見送った。かれらを後継者とする先例を踏襲しなかったのである。これには世界も驚いて、習近平が自ら共産党トップの総書記や国家主席の三期目をめざすのではないか、との憶測がひろがった。
もっともそのためには、国家主席は再任までとした憲法の規定が妨げになる。その撤廃が必要だった。この見方からいえば、今回の改訂は、案の定の結果である。
「皇帝」「即位」が禁句に
小欄第48回はじめ、駄文ではくりかえし、習近平の政治手法はごく中国的・伝統的なもので、かつての皇帝を髣髴(ほうふつ)とさせる、と述べてきた。だから昨年の党大会も今回の改憲案も、さほど意外に思わない。ところが周囲の反応は、かなり敏感である。
中国のネット空間は、さまざまな意見が飛び交い、当局がその統制を強めるといった騒ぎになっているらしい。なかんづく「皇帝」「即位」「万歳」「袁世凱」などのタームが、現地で検索できなくなったのには、筆者も思わず笑ってしまった。騒ぐほうも軽薄ながら、いちいち検閲するほうも、かえって馬脚をあらわした形で、なかなか興味深い光景である。
そもそも共産党政権は、革命政権である。皇帝制度を否定し、軍閥を打倒し、新しい中国を作った政権集団のはずである。ところがいまや、その集団は大々的に軍備を拡張し、リーダーは終身的な最高権力を手中にしようとしている。これでは民間が軍閥・皇帝に回帰しているとみても、不思議ではない。
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