好視聴率が続くNHK大河ドラマ「真田丸」。タイトルは戦国武将、真田幸村が築いた出城の通称と、乱世の荒波に家族の絆で突き進んだ真田家を一艘の「船」に例えたものだ。
では、城の再建に突き進む名古屋市の「河村丸」はどうだろうか。まだ沈没や座礁こそしていないが、船内は大混乱、舵を取る船長、河村たかし市長(67)はすっかり人心をつかめなくなっている様子だ。
「もうこの問題がとどめでしょう。ひどすぎる」。市のある幹部は吐き捨てるように言った。傍らの同僚たちも深くうなずく。彼らが憤慨しているのは名古屋城再建でも議員の報酬増額問題でもなく、この4、5月に勃発した副市長の人事案件である。
河村市長は自らが選んだ3人の副市長のうち岩城正光氏と田宮正道氏の2人を任期途中で解任し、代わりに前市消防長と前天白区長を充てる意向を明らかにした。岩城氏は民間出身の弁護士で、児童虐待や福祉政策を担当。田宮氏は元住宅都市局長で、リニア開業に向けた名駅周辺の再開発を調整してきた実績がある。
2人とも明らかな失敗や不祥事などはなく、岩城氏は「まだ道半ばだ」と反発を示した。しかし交代の理由について、河村市長は「新しいチャレンジが必要。後進に道を譲ってもらうため」などと言うばかり。結局、さまざまな憶測が飛び交ったが、岩城氏は学校施策や陽子線がん治療施設の訴訟問題をめぐり河村市長と対立したことが要因で、田宮氏はその「とばっちり」を受けた、といった見方が有力だ。
河村市長の強権的ともいえる人事を見せつけられ、「職員を信用しない市長を、どう信用すればいいのか」と、これまでためこんだ不満が爆発寸前の職員は少なくない。市議会側も猛反発し、河村市長は5月臨時会に提出を予定していた新副市長人事案を開会直前に撤回。岩城、田宮両氏はその後に退任したため、副市長ポストが二つ空く事態となった。
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