米韓合同軍事演習が終わり、朝鮮半島で高まった緊張もやっと一息ついたかに見えた矢先のミサイル発射だった。5月14日、北朝鮮は新型弾道ミサイルの発射実験を行った。
中国にとっては最悪のタイミングだった。同日から北京では「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」首脳会議が開催され、おびただしい量の関連ニュースがメディアにあふれていた。
同時に習近平国家主席が力を注ぐ北京郊外の副都心「雄安新区」の開発計画など、人々の話題は「安全保障」から「経済」へと変わりつつある中での、北朝鮮の挑発行動だったからだ。
朝鮮半島をめぐる緊張に揺れたこの2カ月間、中国は米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長の橋渡し役を担うように動いていた。そのため、中国はすっかりバランサーとしてのポジションを獲得してしまったかのようである。
ほんの1年前には南シナ海問題をめぐり「世界のトラブルメーカー」──もっとも世界中がこの感覚を共有していたわけではないが──と呼ばれていたことも忘れられてしまったようだ。
時代に逆行する習政権 軍へ忠誠心を要求
そんな「仲介者」、「バランサー」としての役割を演じている中国だが、今年1月のダボス会議で習近平主席が「明確に保護主義に反対する」と演説したように、世界の価値観を高めるようリードする気構えがあるのかといえば、その点がどうも心配なのだ。
というのも中国国内──中でも習近平の足元──では、時代に逆行するような動きがどんどん加速しているからである。
「6中全会で習近平主席を『核心』と位置づけたことは、その典型といえるでしょう」と、国務院のOBが語る。トップを核心と呼ぶこと自体、別に珍しいことではない。しかし、今回のケースはその過程が良くなかったというのだ。
というのも、「明らかに露骨なゴマすりの意図が見え隠れしていたからです。習近平政権が今日まで大きな成果を得られているのは、習主席の危機感とバランスの良さにあったはず。それがいつか変な勘違いをするのではないか、と心配になる」(国務院OB)。
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