有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #歴史の論理

地政学と距離感、中国と隔たる意味 史上一貫して中国に逆らってきた日本

3分で読める 有料会員限定
  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

INDEX

地政学あるいはパワーポリティクスは、距離が時として、死活を決する条件になる。ヨーロッパの諸国家は国境を接してせめぎ合い、干戈(かんか)を交え、興亡をくりかえしてきた。自国を保つには、隣国といかに距離をとればよいのか、をつきつめなくてはならない。それが国際政治の歴史で、現代も常に答えの求められる課題である。

グローバル化の昨今、日本も東アジアも当然、そこからまぬかれるわけにはいかない。ただ東アジアには、20世紀に入るまでに造り込まれてきた秩序体系があった。

いろんな呼び方があるが、わかりやすいように、ここではひとまず華夷(かい)秩序と呼んでおこう。文字どおり、「中華」と「外夷」の関係から成っていた。

これは儒教が説く個々人間の上下関係を、政治的・空間的に置きなおして、拡大したものである。そこでは、中心に位置する文明を中華、周縁の野蛮を外夷であると定義し、それに従って、外夷が中華に服属しつつ尊重を与える代わりに、後者はそれに見あう恩典を前者に施した。かつての中国王朝と朝鮮や琉球、ベトナムとの関係が、これにあてはまる。

儒教と縁遠い日本

しかしこの論理・関係は、漢語を理解し、儒教に共鳴し、中華を畏敬すればこそ、通用し成立する。さもなくば、さしたる意味をもたない。必ずしも漢語文明の中華を尊重せず、上下秩序関係に加わろうとしない人々も、東アジアの内外に少なからず存在した。

たとえばチベットやトルキスタン、あるいはモンゴルがそうである。文字・言語も異なれば、思想・宗教も同じではない。漢語・儒教を知らないから、中華にも中国にも、近づく必要もなければ、服属するいわれもない、と考えて当然である。近代以降は、西洋諸国もその列に加わった。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数