
貧しい家庭に生まれたらもう上に行く人生は描けない、なんて話をよく耳にする。お金持ちの家庭と教育水準がまったく違ってしまい、努力だけでは追いつけないというものだ。所得階層間の溝は年々深くなっているように感じる。
背景には経済の激変がある。日本経済は長らく家庭が貯蓄をして、そのおカネが銀行を介して企業へ融資されることで回ってきた。ところが1997年を境に家計の貯蓄率が急速に下がりだした。世界で日本企業の地位が相対的に低下したため、生き残りを懸けて人件費を削ったからだ。世帯当たり可処分所得は下がり続け、今や年収300万円以下の世帯が3割を超えている。
家庭の貯蓄が減少することは大問題だ。日本は貯蓄を使って生きていく社会だからだ。子どもの教育費や医療費、介護費など大きな出費は貯蓄で賄ってきた。それを支払えない世帯が増え格差は広がっている。
税金のあり方も社会の分断を助長している。日本の税制ではお金持ちや中間層が負担して、貧しい人が受益者になる。格差を是正する措置のように思えるが、一部の人が既得権者のようになっていることで歪みや妬みが生じている。
「生活保護を受けている人はずるい」と無駄遣いの例を吹聴したり、年寄りは税金を払わず年金をもらうばかりでけしからんと言ってみたり。支払った税金が一部の人の利益になることへの反発が起きて、分断を深めてしまうのだ。
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