ついに異端児トランプ氏が米国大統領に就任した。トランプ政権の経済政策=トランポノミクスの内容にはいまだ流動的な部分が多いが、日本を含めた今後の世界経済に大きな影響を及ぼすことは間違いない。以下では、現時点での筆者の理解を大胆に述べてみたい。
まず比較的わかりやすいのは、米金利高・ドル高の動きだろう。トランプ政権では、減税などによる財政出動が行われる可能性が高い(インフラ投資は、議会共和党の反対があり微妙)。米国経済はほぼ完全雇用であるので、そこに大規模な財政出動が加われば、物価が上がり、金利も上昇し、ドルが高くなるのは自然だ。
ただし米国の予算の仕組みを考えると、減税にしてもインフラ投資にしても、財政が動きだすのは早くて今年後半になる。一方で2016年11月からのドル高の影響が今後顕在化してくる。このところ好調だった米国景気も、春ごろにはいったん減速する可能性がある。その場合、市場が予想する利上げのタイミングが遅れ、ドル高相場も調整を余儀なくされるのではないか。
次はトランポノミクスが米国経済の再生につながるかだが、筆者は懐疑的である。この問題を考えるには、アベノミクスの実績を振り返ることが役立つ。第2次安倍晋三政権成立以来の平均成長率は1.3%だが、その大部分は最初の3四半期の4%近い高成長によるもので、その後3年間の平均は0.7%にとどまる。当初こそ財政出動と円安・株高に伴うユーフォリアから高成長が実現したが、その後は供給サイドの改革が伴わなかったため失速したということだ。
米国でも大規模な財政出動を行えば、一時的に成長率を高めることはできよう。だが、その後は供給サイドの改革次第になる。トランプ氏をレーガン元大統領に例える向きもあるが、後者のような改革への理念は感じられない。露骨な保護主義や排外主義は経済の供給面を傷つける。結局、トランポノミクスも一時のあだ花に終わるのではないか。ならば、株高の持続性も疑わしいということになる(シラー式の株価収益率で見ると、米株はトランプ相場以前からかなり割高だった)。
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