天皇の生前退位を認めるのか、認めないのか。認める場合は皇室典範を改正して今後の天皇にも適用されるのか、今上陛下の退位だけを認める特措法とするのか。
政府は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」において、論点の整理を行った後、年明けに報告を受けて国会で論議を始める考えである。有識者会議では専門家16人を招いてヒアリングを実施したが、退位への賛成と反対の数は拮抗した。しかし、この数は人選によってどうとでもなるのでそれほど意味はない。ヒアリング後、有識者会議は年内に2回開催されたが、退位の恒久的な制度化には慎重論が多く、今上陛下に限り退位を認める特措法制定を提言することになりそうである。
安倍晋三首相も特措法制定を考えているようだが、国会での論議もすんなり進むとは思えず、2017年中は何も決められない可能性もある。ただ、どういう形であれ、今上陛下が退位されると、皇室のあり方、また国民生活にもさまざまな影響を与えることが予想される。
まず、皇太子殿下が新天皇として即位されると同時に日本には皇太子がいなくなる。皇室典範では「皇嗣(こうし)たる皇子を皇太子という」と規定されている。皇嗣とは次の天皇であり、皇子とは天皇の子供である。皇太子と呼べるのはこの二つの条件を満たした方ということになる。
次の天皇の元号を現天皇が公布する
皇太子殿下が即位されると秋篠宮殿下が皇嗣となるが、天皇の弟なので皇太子とはならない。皇太子がいない例は昭和初期にもあり、実質的には秋篠宮殿下が現在の皇太子殿下の公務を引き継がれるだろうから、大きな問題ではないかもしれない。
外国との交際において皇太子がいないというのは国家にとっては好ましくはないだろう。もっとも、これは陛下の退位がなくとも御代替わりに伴って生じる問題でもある。
この記事は有料会員限定です
残り 640文字
