12月13日。証券市場の番人、証券取引等監視委員会(SESC)のトップが約9年ぶりに交代した。
新委員長の長谷川充弘氏(写真右)は前広島高等検察庁検事長である。地方検時代には、インサイダー取引が社会に広く認知される契機となったタテホ化学事件を手掛けたほか、戦後最大の経済事件とされるイトマン事件など特に複雑な経済事件の解明に当たった。最高検では大阪地検・証拠捏造事件(村木厚子氏の冤罪につながった検察の犯罪)の内部調査で陣頭指揮を執った大物検事だ。
検察の見立ては誤り
SESCは東芝の歴代3社長、西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の「犯則調査」(=刑事告発を前提とした調査)を続けるのか──これが今回の人事の最大焦点だ。
一部には、委員長が交代すれば東芝の歴代社長への刑事告発はなくなるという見方もあった。東芝は70億円強の課徴金を納めてもいる。
だが、課徴金を納めれば経営者は責任を免れるというわけではない。
前日の同12日に任期満了で退任した佐渡賢一前委員長(写真左)は退任会見で「われわれの委員会は(東芝が巨額の架空利益を計上した)バイセル取引において『犯則調査の必要がある』と考えて調査を始めた」と、公式の場で初めて東芝に対する犯則調査の実施を認めた。
バイセル取引とは、たとえばパソコンの部品を生産委託先に販売し、委託先でパソコンを製造後、完成品を買い取る取引をいう。東芝はこの取引を悪用し、部品の販売にかかわる利益を過大計上していた。
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