「それはやってみなければわからない」──。巨額訴訟に対して徹底抗戦するのか尋ねると、新日本監査法人のある幹部は少し間を置いて、静かに答えた。
東芝の決算書について、「重大な虚偽なし」としたことで2015年12月に金融庁から処分を受けた新日本が、新たな難局に直面している。
今から2カ月前の7月19日。東芝株主は東芝に対して、「会計不祥事を見逃した」ことを理由として、60日以内に新日本を提訴するように文書で要求した。
06年に施行された会社法では、監査法人もその責任の重大さから、株主代表訴訟の対象に加えられることとなった。今回の場合、提訴期限の9月18日までに東芝が訴訟を起こさない場合、株主が新日本を訴えることができる。
想定している損害賠償の請求額は、東芝が金融庁に納付した課徴金73億円や決算修正のための監査報酬など、合計115億円と巨額に上る。
東芝は「提訴するかどうかは18日の期限まで検討する」という。ただ、ある関係者によれば、新日本を提訴しない方針を固めているようだ。
株主の代理人を務めるのは「株主の権利弁護団」だ。かつては、11年のオリンパス事件や10年の住友電気工業のカルテルで、株主代表訴訟を起こしたことがある。
同弁護団は、オリンパス事件の際にも、監査法人に対する訴訟を検討していた。が、当時、新日本はオリンパスの会計処理に疑義を呈し、事件が表面化する前の09年に別の監査法人へと交代させられた。そのため金融庁は監査法人への処分を業務改善命令に留めた経緯がある。
この記事は有料会員限定です
残り 602文字

