大方の予想を覆して、ドナルド・トランプ氏が米国の大統領になることが決まった。
トランプ氏は選挙戦中、各方面で過激な発言を繰り返してきたので、多くの人が「それを本当に実行するのか」と疑心暗鬼に陥っており、「トランプショック」ともいうべき状態になっている。そのショックは、国際政治、人種・移民・社会問題など多様な面に及んでいるが、ここでは経済的側面について考えてみよう。
まず、国内経済運営という点では、財政を活用した積極的成長志向が目立つ。トランプ氏は、法人税率の大幅引き下げ(35%から15%へ)、10年間で10兆ドルという巨額のインフラ投資、個人所得税の減税などにより、成長率をこれまでの2倍の4%に高めるとしている。
こうした米国の財政出動がある程度現実のものとなれば、米国景気にはプラスに作用する。トランプ氏が選出された直後にニューヨーク株式市場で株価が上昇したのは、こうした動きを期待してのことであろう。これは、2012年12月に第2次安倍晋三政権が発足したときに、まだ何もしていないのに、アナウンスメント効果で株高・円安が進んだのと似ている。
世界最大の経済大国が財政で景気を浮揚させるのだから、それは世界経済にもプラスであり、当然輸出増を通じて日本にもプラスに作用するはずだ。さらに、米国の財政赤字の拡大は米国の金利を引き上げるから、ドル高・円安要因となる。これも日本経済にとって追い風となるだろう。
次に、国際貿易については保護主義的な言動が目立つ。その主張は国際経済、貿易についての基本的理解を欠いており、1980年代の日米貿易摩擦当時を想起させるような時代遅れの認識に基づいている。
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