日本をはじめ先進国が頼ってきた金融政策に手詰まり感が漂う。そのため、財政政策の意義が見直されている。
財政拡張による政策は、日本経済が成熟するに伴って乗数効果が低下したため、効率が悪いと考えられていた。
しかし、IMF(国際通貨基金)の最新の論文「高齢化する日本におけるリカードの中立命題の減退」は、今後日本において財政政策の効果が再び高まっていく可能性がある、と指摘している。
「リカードの中立命題」とは、公債(借金)で財政支出を賄っても、人々はその返済が将来の増税で賄われると予測して、貯蓄を増やし消費を減らす結果、現時点の財政支出の効果が限定的になる、というものだ。
ただ、国や時代により、リカードの中立命題がどの程度当てはまるかは異なる。IMF論文は、日本においてはリカードの中立命題が当てはまりにくく、今後もその傾向が続くと指摘している。
理由は二つある。一つは日本全体として見ると、人々がより近視眼的になっていることだ。将来価値を現在価値に換算するレートである割引率は近年、日本において上昇傾向にある(図表1)。ある一定の金額を将来支出することよりも、現在支出することの価値が高いとみなしているのだ。別の研究によれば、米国は日本とは対照的に割引率が長期的に低下傾向にある。資産蓄積が進んでいることや政策の不確実性が低下していることなどが割引率を引き下げていると推測されている。
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