2015年までウルグアイの大統領だったホセ・ムヒカは、その個人資産の少なさから「世界でいちばん貧しい大統領」として知られている。ネクタイを締めないムヒカは、自分が必要ないと思う仕事は行わず、「私は生まれながらの無礼者なんだ」と開き直って、儀礼や典礼も断ってきた。それもこれも自由な時間を作るためだ。
片や日本。会社のトップである社長でさえ自分の仕事を自分で決めているか怪しい。特に大企業では、部下が「後で聞いていないと言われたら嫌なので、この案件も上げておこう」と、社長の仕事を増やしていく。社長が社内から選ばれる日本の場合、社長だけが特別ということはない。部下も同様に仕事が増える。
安倍首相は、このような長時間労働の是正をはじめとする働き方改革の推進に熱心だ。約10年前に、労働時間におけるホワイトカラーエグゼンプション導入法案を「残業代ゼロ法案」と批判され、国会提出を見送ったのが第1次安倍内閣。以来、働き方改革への問題意識が醸成されてきたのだろう。
労働が長時間あるいは過重になる大きな理由は、労働者の多くが自分の仕事量を自分で決められない点にある。上司や前任者が決めた仕事量に対して、「NO」と言えない、つまり、自分の裁量で決められない。そして、決められないことが当然視されている。
管理的な側面から見ると、ある仕事量が決められたとき、仕事の要不要の判断を誰が下し、その判断がチェックされているかが問題になる。具体的には、上司の判断の妥当性を、人事部門や経営者がチェックしているのか。過労死などの労災が発生したときに、事後対応しかできないという体制ならば、大きな潜在リスクが放置されているといわざるをえない。
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