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グローカリズムの平松・元大分県知事が逝く 死者も生者が記憶するかぎり生きている

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幕末に「私は地方人・日本国民・世界(国際)人の三つの人格を持っている」と宣言し、諸課題の解決にはまずこの認識がいる、と門人の吉田松陰たちを諭したのが、開明的な学者・佐久間象山だ。

平松守彦さん(元大分県知事、8月に故人に)の“グローカリズム”は同じ意味の提唱だ。平松さんは知事になると“一村一品運動”を進めた。県内地域でCI(コーポレートアイデンティティというよりもむしろコミュニティアイデンティティ)になる生産品の開発育成を奨励したが、その生産にも“大分県民・日本国民・国際人”の三つの人格認識がいる、という主張だった。モノの生産に託した県民の意識改革が目標だった。そのために地域ごとに「豊塾」という学習機関を作った。私も講演を頼まれたことがある。

正直に言えば平松さんは私の都庁在職中からの“心の師”である。地方自治について歴史とのかかわりで、なるほどとうなずかせる巧妙な提言をされた。記憶に残るのが「廃県置藩」「九州府の設置」などだ。前者は“三割自治”といわれる地方自治体の現状改革に、アイロニー的に「江戸時代の藩(今の自治体に比定)は十割自治だった。戻すべきだ」という論。後者は「中世には大宰府があって、九州の問題はほとんどここで裁決した。今のようにいちいち東京に行って、関係省庁にお伺いを立てる必要がなかった」と、九州府(大宰府の復活)を提唱された。

個人的にもよく面倒を見てくださり、NHKの松平定知さんと歴史講演で中津市に行ったときには、病気療養中なのに土地の料亭で自慢の魚を、悲鳴を上げるほどごちそうになった。それ以前にも同県日出町の城下カレイを食べるのに「カレイの肝をワサビ代わりにしなさい」と、手本を示してくださったことがある。

そばで仕事をする職員の話では「予算の査定も病院でしている」ということだった。別の機会では大分市内の案内をしてくださり、「フランシスコ・ザビエルがいた頃、この辺は病院・教会・ブドウ酒やパンの製造所などで、ヨーロッパの都市のようだった」と、宙に幻の都市を描くような表情をされたことがある。

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