英国発のショックは、イタリアなど南欧の銀行の不良債権問題へと飛び火した。不良債権と不良資産は切り離せないが、日本では銀行と少し距離を置いたところで新しい不良資産問題が起きている。空き家である。
2013年の空き家は820万戸。経年劣化が進めば、その価値はゼロとなり、むしろ取り壊すのに費用が発生するため、朽ちるに任されることも多い。
空き家が増える原因の一つが高齢化だ。日本には要介護状態の人が500万人以上いる。このうち、在宅介護が困難になり、施設に移っている人が約160万人。こうした人々が施設で亡くなったときに、同居人がおらず、相続人も住まなければ自宅は空き家として放置されがちだ。
こうしたプロセスで生まれる空き家は今後も増える。資金面での不安から有料老人ホームをあきらめ、特別養護老人ホームへの入所を待つ人々がざっと50万人いる。待機老人の自宅の何割かは空き家予備軍といえるだろう。
しかし、本当に高齢者は資力に乏しいのだろうか。確かに、収入面で高齢者は年金頼みの人が多い。が、日本の持ち家率の高さから考えて、相当数が資産面では豊かだ。家主の世代別、持ち家世帯率を見ると、65歳以上の持ち家世帯率は79〜81%である。
価値があるうちに自宅を資金化して、それで生活費や介護費用などを賄えれば、どれだけ高齢者自身のためになるだろうか。
自宅を老後の資金に
マクロ経済的にもプラスになる。一般的な不良債権問題は、民間資産の不良化が資金の貸し借りを通じて銀行経営を脅かす。一方、高齢者の住宅を有効活用できないと、高齢者の持っている潜在的購買力が凍り付いてしまうと同時に、財政に依存する社会保障システムの肥大化によって、国家運営が脅かされる。
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