介護業界をめぐって、有料老人ホームを中心に今、逆風が吹いている。
9月10日にはワタミグループが介護事業「ワタミの介護」の売却を協議していると発表。同グループは居酒屋事業で急成長したが、04年に介護に参入、05年に有料老人ホームを展開する「アールの介護」を買収し、「レストヴィラ」のブランドで展開した。
稼ぎ頭の介護事業売却の裏には、主力の居酒屋事業の不振がある。そこにブラック企業というイメージ悪化も直撃。有識者委員会の調査報告書で長時間労働を指摘され、14年3月には労務管理改善の対策を自ら決議している。
ワタミの場合、介護事業は首都圏などで有料老人ホーム113施設(入居者約6400人)を運営する、業界の中堅だ。居酒屋で浸透したブラックイメージも、介護事業での職員募集にマイナスになったという。入居率は一時、90%を超えていたが、8月に78.4%まで低下した。
他方、9月7日には、介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、14年11~12月にかけて、入居者3人の転落死亡事故が起きていたことが明らかになった。
高さ120センチメートルのさくがあるベランダから、80~90代の認知症の人を含む高齢者が転落し、遺書もなかったことから、神奈川県警は事故と事件の両面で捜査している。同ホームでは、職員による入居者への窃盗事件(その後に懲戒解雇)、さらには別の職員による入居者への虐待行為も映像で報じられた。
Sアミーユを運営する積和サポートシステムの親会社は、ジャスダック上場で業界大手のメッセージだ。同社は佐藤俊雄社長名で「再発防止に向けて全力を挙げる」とコメント。ちなみに今年3月、メッセージに資本参加した損保ジャパン日本興亜ホールディングスは、ワタミの介護事業買収も検討中である。
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