段ボール製の簡易ビューアーにスマートフォンを装着しのぞき込むと、360度のVR(バーチャルリアリティ)映像が体験できる。今の技術でVRを体験しようとすると、器材が高価で大掛かりだが、ハコスコなら値段は手頃な1500円から。代表の藤井直敬氏(50)は「人は、興味のないものには100円だって出さない。タダで配るためにスポンサーについてもらい、ビューアーをノベルティとして配ったりしてもらうことを考えた」と話す。
藤井氏はもともと理化学研究所で脳科学を研究する研究者だった。ニホンザルを対象に社会性を研究していたが、研究の一環で作った技術に興味を持ち、起業した。
ハコスコが提供するのは正確にはSR(代替現実)。使っている基礎技術はVRやAR(拡張現実)と同じだが、「見えている現実と過去に撮影した人工的な映像を混ぜることで、その区別がつかない面白い体験ができる。何千年と変わらなかった、人間の世界を認知する方法が根本的に変わり、人間を進化させる技術になりうる」。
ビジネス経験豊富な、妻で共同創業者の太田良恵子さんの意見を聞いて起業に踏み切ったが、今後のビジネス展開については恬淡(てんたん)としている。「あと2年くらいでエグジットしたい。その頃には研究者に復帰しているかも」。
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