細胞が栄養などを取り込む仕組みは複数あるが、栄養源の一つであるアミノ酸を取り込む働きをしているのがアミノ酸トランスポーターだ。そのうち、がん細胞にのみ現れるトランスポーター「LAT1」は、がんの悪性度(致死性)と強い関係があり、これにふたをすると、がん細胞は必須アミノ酸を取り込めず、栄養不足で死に至る。
ジェイファーマが開発した医薬品候補化合物はLAT1にふたをするが、正常細胞には作用しないので理論上副作用がない。2015年から国内で人に対する安全性を確認する臨床試験第1相を開始した。同じ仕組みの抗がん剤はまだ存在せず、世界初のトランスポーター抗がん剤を目指している。
ジェイファーマを率いる遠藤仁・杏林大学名誉教授は1938年生まれ。東京医科歯科大学卒業後、東京大学大学院で博士号を取得。ドイツ留学後は腎臓の研究で東大助教授になった。だが、「医師免許を取りながら医師として社会に貢献できなかった。だから研究者として薬を作ることでお返ししたい」と杏林大に移籍した。腎臓とがんは細胞の動きに共通点があることから研究を開始。94年に必須アミノ酸トランスポーターを発見し、98年にそれがLAT1分子であると特定した。
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