3月期の本決算発表が本格化している一方、日本の株式市場の動向を左右しているのは企業のファンダメンタルズ(財務状況や業績など)ではなく、海外マクロおよび政策イベントだといっていい。これまでの株式市場の方向性に影響力を持っているマクロ要素は少なくとも三つある。それが企業ファンダメンタルズと株価の間に大きな歪みを生んでいた。
一つ目は昨今、世界の株式市場のボラティリティ(変動度合い)拡大の主因となっている原油価格だ。2016年1月以降、ドル円相場は10%程度の円高になった。一方で原油は2月半ばから40%の上昇を見せ、円高環境下でも日本株が上昇するという連動性の歪みを生んだ。
逆にいえば、今後も原油価格の回復が継続しなければ、円高が進行した現状で株価上昇を維持するのは困難だ。一時は石油輸出国機構(OPEC)の増産凍結の観測も出たが物別れに終わり、急展開を見せる材料は乏しい。原油価格に対する過度な反応はしばらくは落ち着くだろう。
二つ目は4月末の日本銀行の金融緩和への期待だった。エコノミスト予想では、量的緩和のうちで特にETF(上場投資信託)購入の増額が焦点となっていた。年間80兆円相当額に拡大されたマネタリーベースの増額余地や円安効果には懐疑的な声が多く、物理的な効果をもたらすETF購入増額に期待が集中したのは自然なことだ。
これにより、為替相場よりも株式市場の物理的な上昇期待が生まれ、円高が進んでも株安にならないという歪みが発生した。そして現在、日銀が金融緩和を見送ったことで日本株は暴落、この歪みは徐々に解消されつつある。
三つ目は投資家需給の変化だ。アベノミクス以降、数年間にわたって買い越しを続けていた海外投資家は昨年後半から売り主体に転じ、16年初めからの売越額が4兆円を超えた。この動きに株価が連動しなかったのは、同期間に淡々と買い越していた信託銀行(公的年金主体)の存在が大きい。
この記事は有料会員限定です
残り 634文字
