セブン&アイ・HDのお家騒動に関し、コーポレートガバナンスがうまく機能したと評価する向きが多い。社外取締役がカリスマ経営者の専断にストップをかけた、といった具合だ。
ある種象徴的な出来事とは思うが、手放しの礼賛を聞くに、社外取締役を増やしたい人々の自画自賛かと思ってしまう。企業価値という視点に立つと、コーポレートガバナンスが果たせる役割の限界をむしろ感じる。
セブン-イレブンの競争力の高さは1店舗当たりの1日売上高を見れば明白だ。2位ローソンとは10万円以上の差がある。これは鈴木敏文会長が育ててきた商品開発力や品質管理によるのだろう。鈴木会長の著書『挑戦 我がロマン』には、こんな逸話が紹介されている。役員の試食会で会長が「これはチャーハンとはいえない」と鶴の一声を発するや、即座に店頭から撤去されて、生産中止に──。トップの徹底ぶりがセブンを最強小売企業へ導いたのだろう。
もちろん、鈴木会長による井阪隆一セブン-イレブン社長の解任提案は説得力に乏しく、かつ強引でコーポレートガバナンス上、問題であった。ただ、コーポレートガバナンスを貫徹することが企業の目的ではない。
企業の規律とは、経営トップに高い収益性を追求するプレッシャーを与えて、行動についての説明責任を求めることに尽きる。しかし、それで企業価値が高まるかどうかは慎重に吟味する必要がある。
後継者を用意させたか
こうした観点から、ファーストリテイリングの例は興味深い。
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