仕事柄、年末年始にかけて多くの方々から「2016年のキーワードは?」との問いをいただく。
私の答えは「多様性」である。今回はその心について解説したい。
昨年の株式相場を振り返れば、最重要キーワードは間違いなく「ROE」(自己資本利益率)だった。
日本企業のROEは、新興国経済が拡大した06~07年度に一時10%を若干超えたが、その後、リーマンショックや東日本大震災などにより低迷が続いた。しかし12年末の安倍政権発足前後から回復に転じ、足元では9%超とほぼ07年度の水準まで回復した。
コーポレートガバナンス・コードの運用が開始されたのが15年6月1日。先行していた日本版スチュワードシップ・コードと併せて企業を内外から統治する仕組みが整った。また、優れたガバナンスの下で高いROEを上げる企業によって構成される新たな株価指数「JPX日経インデックス400」も普及が進んだ。全体的なROEの回復には、こうした背景があるだろう。
しかし、個別企業レベルで詳しく分析すると、より複雑な事情が見えてくる。図に示したのは06年度と15年度の企業ごとのROE水準の分布状況である。企業部門全体としては、ROE水準がほぼ等しい二つの時期を比較した。
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ROEの分布が変化
にもかかわらず、分布形状がかなり異なっていることが見て取れるだろう。すなわち15年度は、①はしにも棒にもかからない(ROEで0%未満の)企業はほとんどなくなった。一方で②平均以下のROEしか達成できていない企業の比率が高まり、③特にROE5~9%程度のいわゆる「中の下」の企業が顕著に多くなった。これが、今の日本株式の特徴である。
このような状況を踏まえて、日本企業がさらにROEを引き上げるには「資本政策」と同時に「稼ぐ力」の向上が求められている。
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