日本銀行のマイナス金利導入で、株式は「買い」か「売り」か──。答えは買いである。
多数の企業が実物投資でなく増配や自社株買いに励むとしよう。毎期の利益に相当するキャッシュが払い出され、景気後退で利益が一時的に減っても、投資削減や社債発行で資金を捻出し、配当や自社株買いに充当する。それはいわば、より多くの企業がリスクテイカー(リスクを取る主体)ではなく「キャッシュ払い出しマシン」になることを意味する。
これが今の米国企業の姿だ。当然ながら企業の利益は景気循環に応じて変化する。しかしS&P500に採用される企業の配当と自社株買いとを合わせた利回りを見ると、近年は5%前後で安定している(図1)。その安定感は、あたかも企業からの「利益がどうなるかはさほどコミット(約束)できませんが、払い出すキャッシュについてはコミットします」というメッセージのようだ。
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このような安定的なキャッシュフローを生む証券(株式)を価格づけするとどうなるだろうか。投資家はこうした証券への投資を相対的にリスクが低いと考えるだろう。そして日々の価格変動率や利回り水準も低下するとみられる。
別の視点で考えると、企業が投資に励まないということは新たな事業のリスクを取らないということでもある。すなわち、金融機関や投資家が拠出した負債と株主資本はリスクにさらされにくくなる。
実物投資が鈍化するのは労働力人口の伸び鈍化や資本の蓄積に伴う実体経済の低成長予想、情報技術(IT)などによる投資のソフト化などが理由として挙げられる。本来は、投資を怠り無為に過ごす企業は淘汰にさらされる。しかし、もし大多数の企業が投資に消極的ならば、既存製品との差別化につながる新しい商品やサービスを生み出す企業がないため淘汰も起きない(残念なことにイノベーションも減る)。加えて経済規模の拡大が鈍化する中でも収益の伸びを確保するため企業の合併・買収(M&A)に躍起となるが、これは企業間の競争減少をもたらす。
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