買い戻しの動きが続いていたドルは、3月29日のFRB(米国連邦準備制度理事会)のイエレン議長講演を受けて、再び売り優勢の展開となっている。
議長講演は利上げ先送り観測を強めるのに十分な内容だった。講演前半に、FOMC(米国連邦公開市場委員会)の金利見通し(ドットプロット)は「予想」でしかなく「計画」ではないと説明。ドットプロットで示された年2回の利上げが変更される可能性を示唆した。
講演中盤では堅調な労働市場を背景に米国の消費は強いと述べたものの、最近の国際的な経済・金融市場の動揺で消費が弱含みする可能性があると指摘。中国景気の減速と原油安を米国景気のリスクに挙げ、国外情勢が景気を予想以上に下押しした場合、労働市場の改善も鈍化すると述べた。

中国景気と原油価格は共に不透明感が強いままだ。3月上旬に開催された中国の第12期全国人民代表大会(全人代。国会に相当)では、今年の成長率目標が6.5~7.0%と昨年目標(7%前後)から引き下げられた。中国の李克強首相は所信表明演説で、「わが国の発展が直面する困難はより多大に、試練はより厳しくなる」と危機感をあらわにした。
3月の同国製造業PMIは50.2と8カ月ぶりに50台を回復したが、上海総合指数は3月下旬から3000近辺で上値が抑えられたまま。中国からの資本流出も続いているもようで、景気の持ち直し期待が強まるとは考えにくい。
1バレル=40ドルを回復したNY原油先物価格は3月下旬から再び下落基調にある。4月17日に予定される産油国会議に向けて増産凍結を探る動きが注目されるが、サウジアラビアのムハンマド副皇太子は増産凍結の条件として、イランを含む主要産油国が合意することを前提にすると発言。原油需給の改善期待が後退している。
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