日本銀行は1月29日、マイナス金利付き量的質的金融緩和の導入を決定した。直後の国内市場の反応は、長期金利の低下、株式相場の上昇、為替の円安と一昨年10月のサプライズ緩和を彷彿させるものであった。
同日の海外市場も総じて株式相場が堅調に推移。欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を示唆していたことと併せ、日銀が市場の緊張緩和に一役買った格好だ。
2014年6月にマイナス金利を導入したユーロ圏では、ユーロの対ドル相場が15年3月までに最大で2割以上も下落しており、今後円安期待が再燃するだろう。
ただ以下複数の経路によって、円安圧力はかなり減殺される可能性が高い。
第一に円安の原動力となるべき円の実質金利(名目金利-期待インフレ率)低下が期待しにくい。イールドカーブ(利回り曲線)全体に低下圧力が加わろうが、すでに日本の長期金利は0.1%を割り込んでおり、名目金利の低下余地は限定的だ。マイナス金利導入時のドイツの長期金利が1.4%台で推移していたユーロ圏とは事情が異なる。
また日銀が懸念する日本の期待インフレ率低下の背景は、中国を筆頭とする世界経済の低成長見通しと言える。日銀の政策で期待インフレ率を押し上げるのには限界があるだろう。
黒田東彦総裁が言及したポートフォリオ・リバランスによる円安効果も限定的になるとみられる。0.1%のマイナス金利を嫌って、金融機関が為替リスクを取ってまで、当座預金を国外へ移すことはない。
もちろん低金利に押し出され、機関投資家などの対外証券投資は活発化するだろう。ただ、為替ヘッジ付きが主流とみられ、為替相場への影響は限られるだろう。
円買いが強まる場合も
円安が進むと、国際的な金融市場が複雑化し、かえってリスク回避姿勢が高まるおそれもある。たとえば、中国当局は対円で進んだ人民元高を嫌い、対ドルでの元安指向を強めるだろう。対円、対人民元でのドル高は、米国の製造業を一段と圧迫しかねない。
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