FRB(米連邦準備制度理事会)の正常化プロセスの挫折を念頭に、今年は5年ぶりの円高ドル安になると予想してきたが、現実味は日増しに高まっている。年明け以降のFRB発信の情報を見るかぎり、やはり今年4回の利上げは信用できない。
ボストン連邦準備銀行のローゼングレン総裁はFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーによる政策金利見通しの下振れリスクを指摘。シカゴ連銀のエバンス総裁は昨12月の利上げが見送られたとしても、自分は満足だったと吐露している。鉱工業生産や輸出金額、ISM製造業景気指数、企業収益など、そこかしこでドル高や海外経済減速の悪影響が指摘され始めている。
1月13日に公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)にもドル高への不安がにじみ出ていた。「強いドル政策」というフレーズが16回も登場、ほとんどが外需減速と絡み合ったうえで経済を下押ししているという負の文脈で使われている。ベージュブックが討議資料として用いられる1月FOMC(26~27日)の声明文は、慎重なハト派寄りの修正を施される懸念が強い。結果、3月利上げ説は一段と後退し、円高予想の追い風となる可能性が高い。
筆者はドル高が金融引き締め効果をもたらし製造業を中心に不況の様相を呈してきているため、連続的な利上げは難しいと考えている。これに対し、「製造業が米経済に占める割合は10%程度で、FRBが利上げをあきらめる理由にはならない」との反論がある。だが、経済が成熟した先進国は総じて製造業よりもサービス業のほうが経済に占める割合は大きい。それでも近年のユーロ圏のように、通貨安の下で輸出競争力を保とうと躍起になることは珍しくない。それだけ影響が軽視できないものだからだろう。
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