シリアやアフガニスタンなどから、今年だけで一説に100万人ともいわれる多くの難民が欧州へ流れ込んでいる。トルコ沿岸に流れ着いたシリア人幼児の「一枚の写真」が世界の世論を大きく動かし、特にドイツは積極的な難民受け入れ策に転じた。しかし、あまりの多さと流入ペースの速さに、当初の歓迎ムードは消え去り、メルケル首相はドイツ国内外から激しい反発を受けている。
ドイツはなぜ難民受け入れに転じたのか。一つに「人道的な理由」が挙げられる。ヴェアテルン駐日ドイツ大使は今年10月、本誌の取材に「第2次世界大戦後や東西ドイツ統一の際、隣国から温かい支持を受けた。今、恩返しのときが来た」と答えた。しかし、人口約8100万のドイツは日本と同様に高齢化と人口減少が進行しており、労働力不足対策の側面があることは否めないだろう。
そもそも難民と移民は一国の経済にどんな影響をもたらすのだろうか。今回の欧州難民問題について、各種機関がリポートを公表している。いずれも比較的オーソドックスな手法、視点での分析だ。
OECD(経済協力開発機構)は11月に最新の経済見通しを公表し、その中で難民問題に触れている。
多くの難民が流入している国の財政への影響については、「追加的な支出は比較的緩やかな増加にとどまる」と結論づけている。たとえばドイツは、難民の初期ニーズや労働市場への統合のために、2015年にGDP(国内総生産)比0.25%相当、16年、17年には同0.5%相当の費用が必要だという。
そのうえで、これら追加財政支出に伴い、16年から17年にかけて、欧州全体の総需要をGDP比0.1~0.2%相当押し上げると推測している。難民問題の社会的な反響の割に、経済・財政面でのインパクトは小さい印象だ。
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