予想外に弱い9月の雇用統計を受け、年内の米国利上げは難しくなったとの見方が強まった。金融政策を反映しやすい米国2年債利回りは0.6%程度まで低下。この水準まで低下したのは、7月初旬にかけての中国株の大幅安を受けた局面、8月下旬のグローバルな株価暴落の局面に次いで3回目だ。
前2回の利回り低下が、主に株価暴落、グローバルなリスク回避によるものだったのに比べ、今回は純粋に米国の経済指標の弱さを反映したものである点が異なる。金利低下を好感して、むしろ株価は堅調に推移している。
株価への感応度低下
振り返れば、8月下旬以降の中国経済についての懸念を材料とする、グローバルなリスク回避相場・株安の中、ドル円相場は株価連動で上下してきた。すなわち株高=ドル高円安、株安=ドル安円高となっていた。この動きの主要因はドルの強弱ではなく、リスク回避の強弱を中心とする円の強弱であった。しかししだいにドル円相場は漠たる中国懸念の強弱からは乖離し、株価の上下動に対する感応度は足元で低下したようだ。
利上げ見通しの変化や株式市場の変化にもかかわらず、ドル円相場は1ドル=120円近辺で比較的安定した値動きを続けている。それは、リスク回避による円高圧力と、米金利先高感によるドル高圧力という、逆方向の力が共に後退したことが大きい。ドル円相場は微妙なバランスの下で比較的安定している。
米経済が強すぎず弱すぎずの状態であることで、利上げ観測が後退し、他方で景気や企業業績を懸念して株価が低迷するようなことのない状態がもたらされている。
利上げ観測の後退による株価の上昇はいわば「金融相場」であり、好業績による株価上昇である「業績相場」の対極にある現象だ。しかし景気が悪すぎれば「逆・業績相場」となり、株価は軟調に推移することになる。こうなってしまうと、リスク選好が弱まる中でドル金利先安感が台頭し、ドル円相場はドル安円高が進むことになる。
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