中国の株価が急上昇の後、乱高下している。現在、筆者は1カ月をかけて、欧米とアジアの機関投資家を訪問しており、今年3月の全国人民代表大会で示された中国政府の地方債務削減や金融市場の規制緩和、金利完全自由化といった政策に対する評価を聞いているが、長期投資家と短期投機勢で見方は顕著に分かれている。
そこで今回は、中長期投資家の代表で、香港にある世界最大手の株式投資信託のCIO(最高投資責任者)の現状認識を以下に紹介したい。
基本的には、中国の地方財政が危機的な状況にあることと、不動産市況が世界の主要市場で唯一下落を続けていることを考えると、これまでの株価上昇は非常に脆弱なもの、という認識を持っている。
機関投資家の多くが中国株式市場に影響を及ぼす経済要因として注目しているのは主に6項目だが(図表1)、特に、地方債務の削減、不動産会社および金融機関の債務・不良債権処理、金融市場の規制緩和と金利自由化の3項目を重視しているとのことだった。
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処理先送りの不良債権
中央政府は財政赤字の深刻な省が抱えるLGFV(Local Government Financing Vehicle、地方政府融資平台)の債務(償還期限3~4年)のうち、年内に返済期限を迎えるものについて1兆元分、長期の地方債(償還期限10年以上)に切り替えることを認めた。
これは地方政府にとって、利払い費の軽減にはなるものの、金融機関のバランスシートに債務不履行リスクの高い地方債が長期に固定されることを意味する。結局、国営銀行を含む金融機関の不良債権削減は進まないことになる。
中国のGDP(国内総生産)成長率が低下する過程で、中国政府の税収の伸び率も鈍化。今年の政府の財政赤字は対GDP比で2.3%と過去最悪になる見通しだ。中国の政府債務残高の対GDP比率は50%に迫り、悪化が続けば、国債の格下げもありうる。だが、政府は、人民元の国際化を進め、IMF(国際通貨基金)によるSDR(特別引出権)への採用に期待する中で、そうした事態を招くのは避けたいはずだ。
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