祖業はレーヨンながらも、液晶ディスプレーや建築用ガラス、食品包装材と、さまざまな用途に使われる高機能樹脂(ビニルアセテート)の事業部門が今や利益の7割を占めるクラレ。得意分野の強化を狙い、2014年には化学最大手デュポンの事業を取り込んだ。全体の売上高は5000億円を超え、さらなる拡大を目指す中、伊藤正明社長に今後の戦略を聞いた。
──かつてと比べると収益の構造が大きく変わった。
私が入社した1980年当時、繊維部門の売上高は8割超だったが、今は2割。苦労して苦労して事業の中身を入れ替えてきた。
ビニルアセテートはコア中のコア事業だが、未来永劫そうなのかはわからない。これまでは独自技術を作り出し、繊維中心の会社からコアを変えてきた。会社で毎日8時間働いて、実験をして給料をもらうというのでなく、もっと熱い思いを持ってやってくれ、と。先日、研究開発部門の社員にそう話してきた。
繊維部門は、いろいろな意味でいい戦力になっている。たとえば、ポリエステル長繊維は1万本の糸を異常なくそろえる、平均化のできない世界。1本でも悪いものがあるとアウトで、そうした品質管理が求められる中で培った生産技術は欠かせない。
──技術系出身の社長就任は32年ぶりとなる。
35年間の会社員生活の中で、生産現場に21年いた。工場の仕事のつらさも、面白さも、醍醐味もよくわかっているつもりだ。課題が山積みの中で仮説を立てて、うまくいくと、うれしかった。
今の若い人は仕事が細分化されすぎていて、成功体験になかなかつながりにくくなっている。でも、私も成功体験があるから必死になってやってきた。社内でそう思えるようなことを作り上げていきたい。
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