ECB(欧州中央銀行)が1月に決めた量的緩和策。3月9日、その中核となる国債などの購入プログラム(PSPP)が始まった。
国債購入が想定どおりに進むのか、一部では疑問の声もあったが、ECBによると第1週は97.5億ユーロ(約1.25兆円)の購入を決済。月間600億ユーロ(約7.7兆円)の全資産購入目標額に向け、順調な滑り出しとなった。
PSPPは、2016年9月までの19カ月で総額約1.1兆ユーロ(約146兆円)の購入を予定し、「インフレ率が2%以下でその近辺」というECBの中期目標に沿った物価状況が確認されるまでは、それ以後も買い入れを継続する。
ユーロ圏19カ国の中央銀行が、原則、ECBへの出資比率に応じた枠内で、自国の国債や欧州機関債などを購入する。国債金利のマイナス化が広がる中、購入対象国債の金利下限をマイナス0.2%とした。これはECBの準備預金金利マイナス0.2%に対応し、国債購入による逆ザヤを避ける意図がある。
「準備預金のマイナス金利とセットで実施した点で、ECBの量的緩和は日米のそれとは違う。事実上、世界初の試みだ」と指摘するのは、野村証券の美和卓マーケット・エコノミスト。日米では、中央銀行の準備預金金利はプラスであり、民間銀行の国債売却資金は準備預金として積まれていくことを想定している。それによって信用創造が促進され、マネー流通量の増加→物価上昇期待という流れを作るのが狙いだ。
これに対し、ECBのように準備預金金利がマイナスだと、「民間銀行は国債売却資金を準備預金よりも銀行券の直接送付で決済することを選好する可能性が高い」と美和氏は見る。「紙幣の保管場所という物理的な限界に達すると、銀行は紙幣をほかの資産に振り替えるポートフォリオリバランスを行うだろうが、それはECBが期待する企業向け貸し出しよりも、年限の長い国債になるのではないか」。
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