企業の自己株取得が増えている。アイ・エヌ情報センターの調べによると、2014年は12月15日までで自己株取得実施額が2兆9664億円に達し、13年暦年の額をすでに39%上回っている。過去3番目に多かった08年以来の高水準だ(図表1)。
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企業が自己株取得を増やしている背景には、ROE(自己資本利益率)信仰の高まりがある。ROEは利益を自己資本で割って算出する。自己株を取得して自己資本を減らせば、ROEは向上する。
ROE信仰が強まっているのは政府による後押しが大きい。14年6月に閣議決定した改訂版成長戦略で、冒頭部分に「コーポレートガバナンスの強化」を掲げ、「グローバル水準のROE達成等を一つの目安に」と明記した。ガバナンス強化のための原則を記したコーポレートガバナンス・コードも金融庁がまとめ15年6月から導入する。
14年8月には経済産業省のプロジェクトが一橋大学大学院の伊藤邦雄教授(座長)による「伊藤レポート」を公表。「8%を上回るROEを達成することに各企業はコミットすべき」と具体的数値も記載した。
14年1月から算出が始まった「JPX日経インデックス400」は銘柄採用にROEを考慮。年金積立金管理運用独立行政法人の公的年金運用のベンチマークとなった。
グローバルに株主総会での議決権行使の助言を行うISS社は15年2月から日本向けの助言方針を改訂。過去5期平均ROEが5%を下回る企業の経営トップの取締役再任議案に反対を推奨する。
経営者へのROE向上プレッシャーは強まる一方だ。
しかし、「ROE至上主義は日本経済全体にとって必ずしもいいことではないのではないか」と丸山俊・BNPパリバ証券日本株チーフストラテジストは警鐘を鳴らす。
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