北陸のドラッグ風雲児「ゲンキー」の安売り戦略 コスモス薬品を追うローコスト経営の徹底ぶり

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福井県や石川県を中心に336店を展開するドラッグストア「ゲンキー」(編集部撮影)

「今日も!明日も!あさっても!365日!爆安勝負!」

このように消費者にとって心強いメッセージを打ち出すドラッグストアがある。福井県や石川県を中心に336店舗を展開する「ゲンキー」だ。運営会社は東証1部上場の「Genky DrugStores」。1988年創業で福井県に本社を構える。社長の藤永賢一氏が創業者だ。

ゲンキーが配布しているチラシを見ると、たしかに安い。税込み価格は、もやし1袋が18円、キャベツ1玉が84円。生鮮食品のほかにも、カゴメの「野菜生活100オリジナル」の1リットルパックが171円、ニチレイフーズの冷凍食品「からあげチキン6個入り」が139円で販売されている。都内のスーパーの価格と比べて2~5割も安い。

いま最も勢いのあるドラッグストア

過剰な出店が指摘されるドラッグストア業界は現在、生存競争が激しくなっている。生き残りのため、規模の拡大を求めて経営統合を繰り返しているのが、業界最大手のウエルシアホールディングスや同2位のツルハホールディングスだ。

一方、3位のコスモス薬品は、ディスカウント戦略で割安な価格を武器に競合他社から客を奪いながら成長を続けている。

ゲンキーは上場ドラッグストア13社の中で売り上げ規模が11番目と下位。だが、ここ数年で急速な成長を遂げ、いま最も勢いのあるドラッグストアの1社といっても過言ではない。

直近5年間でゲンキーの売上高は約2倍となった。2021年6月期の売上高は前年同期比16%増の1430億円、営業利益は同43%増の62億円を見込む。ウエルシアの売上高9496億円(2021年2月期)とは大きな開きがあるが、上場13社の中で売上高の伸び率はトップ、営業利益の伸び率も2位となっている。

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