「北朝鮮危機」こそが自民党圧勝の最大要因だ 英メディアは日本の総選挙をどう分析したか

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写真は10月22日、自民党本部での安倍晋三首相(写真:ロイター/Kim Kyung-Hoon)

10月22日に行われた総選挙では自民・公明の与党が議員定数の3分の2以上の議席獲得を達成し、文字通りの圧勝となった。英メディアは台風にもかかわらず一票を投じた日本の有権者の多くが、北朝鮮問題による不安感を背景に安定性を選択したと報じた。

選挙前には支持率に陰りを見せていた安倍首相が憲法改正を実現するには「あらゆる政治スキルが必要」と指摘するメディアもあった。BBCは首相による「北朝鮮に毅然とした態度で対応する」という表現は「レトリックに過ぎない」という。今後の予想も含め、その報道ぶりを紹介したい。

北朝鮮問題、野党の分裂が勝因

22日夜の出口調査で与党が衆議院議席の圧倒的多数を取得する見込みと報じられると、英メディアは一斉に安倍首相の勝利を報じ始めた。「予定よりも1年も早く総選挙を実施し、自民党が勝てなければ党首を辞任すると述べた安倍首相の高リスクの賭けは成功した」(デイリー・テレグラフ、22日付)。過半数の議席を獲得したことにより「安倍首相は国民から強い信任を得た」(ガーディアン、22日付)。

安倍首相の勝因はどこにあるのか。イギリスでは、保守党のテリーザ・メイ首相が6月にブレクジットの信任を問う解散総選挙に打って出た際には議席を大きく減らしている。そのためもあるのだろうか、自民党の勝因に対する分析には力が入っていた。

複数のメディアが、最大の要因として北朝鮮問題を挙げた。「世界各地で不安定な状況が生まれている。頼れるのは自民党だけだ」(東京に住む、78歳のある有権者、テレグラフ)。建設会社に勤めるほかの有権者(50歳)は「北朝鮮に負けないという安倍首相を支持している。選挙では北朝鮮問題に注目していた」と語る(同紙)。同紙は北朝鮮に対する不安感が多くの有権者の「潜在する保守主義」に「火をつけた」と分析する。

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