さて、竹下さんは将来経営に携わる仕事に就きたいということをゴールとし、今、何をするべきかで悩んでいらっしゃいます。そしてそのゴールに向けて、ここ3年間はいろいろと「よい職場」を探し求めているとのことで、ITとM&Aのコンサル、そして現在は事業企画の仕事をされているが、また転職を考えているということですね。
竹下さんなりの何かしらのロジックがあり、そのような3種の職種を選び、そして短期間で辞め、次に行かれているわけですが、正直、あまりキャリア上の一貫性があるようには思えません。そしてその背景としては、おそらく竹下さんの中で「企業経営」の具体的イメージがあまり固まっていないのでは、と思われます。
将来の具体的イメージが固まっていないがゆえに、現在、ご自身が何をするべきかが明確になっていない。そして明確でないがゆえに、「何となく違和感」が生じて転職を繰り返す、そういった状況に陥っているのではと思います。
たとえば、ITやM&Aのコンサルは特定分野のスペシャリストになるパスとしてはよいのでしょうが、企業経営全般という目線でいうと、求められるキャリアのほんの一部にしかすぎないという意味において、さほど優先順位が高いようには思えません。
一方で、現在やられている事業企画(記載されている内容からすると新規事業の立ち上げのようなイメージでしょうか)は、会社全体ではなく1事業ということで規模や環境は異なれども、考えようによっては、ひとつの事業を立ち上げ軌道に乗せる職種という意味では、まさに企業経営の縮小版とも考えられます。
当然、経営者に求められる経験やスキルは企業の成長ステージや状況、カルチャーなどさまざまな要因にも依拠しますし、ましてや「これだけやればいい」とか「これが正解」という形があるわけではありません。
したがって、ご自身がどのような経験やスキルを保有し、どのような業種の会社において活躍できる経営者を目指すのかを明確にする必要がありますし、それをもって逆算で現在やるべきことの優先順位をつけるべきなのです。
「一貫性」と「実績」が大事
なお、その際に重要なのは、何も「ひとつの会社で長年勤務をする」ことが大事なのではなく、「ひとつのゴールに向かって一貫したキャリアを築く」ことです。
私自身も何度か転職をしており、そのたびに会社というハコは変わっていますが、目指すゴールがぶれたことはありません。したがってキャリア上のストーリーには一貫性があると思っています。さらに言うと、それぞれ所属した組織で圧倒的な結果を出してきているつもりです。
ストーリーに一貫性がありなおかつ実績があるからこそ、経験やスキルにも重みが出て、周りからの信頼が生まれますし、転職回数もネガティブではなくプラス要素として考えられるのです。
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