さらに、インドは2025年1月、全線を対象に信号システムや列車制御システムなどに関して、欧州式のシステム(ETCS)レベル2を前提とした入札を発表した。ETCSは新幹線の信号システム「デジタルATC」とは仕様が異なり、ETCSが採用されると新幹線は走行できない。
事業化調査報告書ではETCSレベル2と比較したうえで、デジタルATCの採用を推奨すると結論づけていた。その理由として、日本の新幹線の安全性(乗車中の乗客が死亡する列車事故が起きていない)、ETCSレベル2よりも保守費用が安いといった点が挙げられている。にもかかわらずETCSに変更した理由は発表されていない。
開発中の「E10系」導入案打ち出したが…
ETCS採用の動きを察知した日本はそれを阻止すべく、さまざまな対策を講じた。まず、訓練やデータ収集用のE5系1編成と総合検測車をインドに譲渡することを提案した。また、2025年1月から1年間にわたってNHSRCLの職員16人を受け入れて、新幹線運転士研修を実施するなど、ソフト面での強化も打ち出した。
さらに交渉が難航したE5系に代わり、JR東日本が開発中の「E10系」をインドに導入する案を打ち出した。E10系は2027年秋の以降に完成し、走行試験を行なった後、2030年度に日本国内での営業運転を目指している。ただ、E10系はインドが最初の高速列車を走らせるという2027年8月に間に合わないことから、インド側によって「E10系が間に合わないから国産車両を開発した」という論理のすり替えに使われているとの見方もある。

