30年前、日本の電機(エレクトロニクス)産業は、世界で圧倒的な存在感を誇っていた。ボストンでもベルリンでも、家電量販店に行くと、並んでいるテレビもビデオも音楽プレイヤーも日本製品ばかり。日本はまさに「家電立国」だった。
ところが今はどうだろう。ドバイの巨大モールでもフィリピンの地場のショッピングセンターでも、最前列に並ぶのはSAMSUNGとLG。ソニーのロゴを見つけると、そこはデジタルカメラの売り場だった。
また、シャープは台湾の鴻海精密工業の傘下となり、東芝のテレビ事業は中国・ハイセンスに売却された。ソニーも2026年、中国TCLとテレビなどのホームエンタテインメント事業を担う合弁会社を設立する契約を締結。パナソニックもテレビ事業で中国メーカーとの連携を進めている。
「いや、日本のエレクトロニクス企業はスゴイじゃないか」と励ましてくれる友人も何人かいたが、彼らの指す日本企業とはSAMSUNGであることが多かった。
日本の自動車産業は安泰か?
では現在、日本が誇る工業製品は何かというと、なんと言っても自動車だろう。
トヨタは誰もが知る販売台数で世界最大の自動車グループだ。アフリカでも中東でも、「欧州車は高いだけで壊れやすい、中国車は安いがもっと壊れる、日本車が一番安心だ」という話を何回も聞いた。
しかし現在、世界最大の自動車生産を誇る国は中国だ。2024年の中国の年間自動車生産台数は3128万台、日本(823万台)の4倍近い。
またEVの市場は毎年成長を続け、2025年には世界で2070万台を販売。世界で売れた新車の4台に1台はすでにEVとなった(PHEVを含む)。EVとPHEVを手がける中国のBYDは、2024年に販売台数でホンダと日産を抜いて大きな話題となった。
実際に、5年前にアメリカを旅したときには、テスラは当たり前のようにたくさん走っていたし、3年前の上海の中心街を走る自動車のほとんどは緑ナンバーを付けたEVだった。2年前のブラジルやペルーといった南米の国々でも、至るところに中国EVの宣伝を見た。


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