「心を奪われたのは駅弁の『調理技術』です」と奥山さん。
「例えば列車の振動に耐えられるように、おかずやご飯を容器に対してぎっしりと詰め込む。隣席への匂いが気にならないよう、香りの強い食材は使わず、冷めた状態でおいしく食べられるようにする。衛生管理はもちろん、酢を使って保存状態を高めるなど、鉄道での食事として、長年、さまざまな工夫がなされてきました」
今でも各地で使われている経木の箱に入った駅弁は、冷蔵技術が発達していなかった時代、温かいご飯を木箱に入れることで余分な水分を飛ばし、冷めてもおいしい状態に保っていた。個人的にも経木に入った「あなごめしうえの」の「あなごめし」は、温かい状態で食べるより、冷めてから食べた方がおいしいと感じたこともあるくらいだ。
駅弁の定義とは何か
そして「駅弁の定義」については「かなり難しいところではありますが、今回実施した調査研究では」と前置きした上で、以下の回答を得た。
「そういった意味でも、駅弁は、『鉄道文化と地域の食文化との交差点』かな、と思っています」
鉄道についてはその歴史や車両が注目され、様々な保存活動が進んでいるが、駅弁も鉄道と同様、日本の歴史であり文化である。その駅弁に、もっと注目してもらいたいと切に願う。

