この視点に立つと、「スマホをやめない」「宿題をやらない」といった一つひとつの問題が、小さく見えてくるのです。期待値を究極まで下げるとは、「子どもを諦める」ことではありません。むしろ逆です。子どもの存在そのものへの、深い感謝に戻るということなのです。
そして、ここから不思議なことが起こります。
期待値が究極まで下がると、子どもの「できているところ」が見え始めるのです。そして、声かけが自然と変わっていきます。
これまで、親御さんの目には、「スマホばかりしている」「勉強しない」「約束を守らない」――そんな「できていないところ」ばかりが映っていたかもしれません。しかし、期待値が下がると、同じ子どもの中に、実はこんなにたくさん「できているところ」があることに気づくようになります。
●ご飯をちゃんと食べた
●挨拶をした
●お手伝いをした
●笑っていた
●友達と楽しそうに話していた
●好きなことに夢中になっていた
●たまに優しい言葉をかけてくれた
これらは、すべて「できていること」です。そして、当たり前のようでいて、実はお子さんが「してくれている」大切なことなのです。あるお母さまが、期待値を究極まで下げる実践を始めてから、1カ月後にこうおっしゃいました。
「この子、こんなに良いところがあったんですね。前は全然気づきませんでした」
お子さんは変わっていません。変わったのは、親御さんの見る目です。そして、もう一つ大切なことがあります。親御さんの見る目が変わると、子どもは必ずそれを感じ取ります。
「お母さん(お父さん)、最近、ガミガミ言わなくなったな」
「なんか、自分のことを認めてくれてる気がする」
そう感じた子どもは、少しずつ、前向きな行動を自分から取り始めます。なぜなら、人間は「認めてくれる人」の期待に応えたくなる生き物だからです。叱られるから動くのではなく、認めてくれる人だから応えたくなる。この流れに入ると、親子関係は驚くほど変わっていきます。
期待値を究極まで下げる――これは、親御さんにとって簡単なことではないかもしれません。でも、効果は絶大です。試す価値は十分にあります。
子どもを変えようとするより、親が「ご機嫌な状態」を作るのが先
ここで、子育てで最も重要なことをお伝えします。
多くの親御さんは、「子どもをどうにかしたい」「子どもを変えたい」と思って、この本を手に取られました。しかし、これまでのお話を踏まえた上で、結論としてお伝えしたいのは、こういうことです。


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